最新ミネラルファンデーションの解説
「(化粧品に含まれた) コラーゲンやエラスチンが肌の水分を補給する」ということは、まずあり得ないことだと考えていいでしょう。
コラーゲンとエラスチンはあくまでも、水分を逃がさないようにする枠組みであって、それ自体は水分ではないのです。
ヒアルロン酸についても同じことがいえます。
化粧品で補給した場合、肌の表面に止まって水分の蒸発を防ぐため、肌の水分が失われることを防ぐ防御的な働きはあります。
けれども、角質が遮断する限り真皮までは届かないし、真皮のなかでコラーゲンやエラスチンと組み合わさることもありません。
この三つが組み合わさって、肌の水分を保つ構造は、肌そのものしかつくりえないものです。
それだけ、線維芽細胞がもつ能力とパワーには計り知れないものがあるのだと思ってください。
どんなに化粧品メーカーが頑張っても、線維芽細胞と同じことができるものはつくれないのです。
「それでは、コラーゲンやエラスチンをリサイクルする線維芽細胞がダメになってしまったら、もう肌の水分を保つのをあきらめて、シワができるがままするしかないの?」と、嘆く必要はありません。
化粧品で、外から水分を補給することはできなくても、線維芽細胞に働きかけて、細胞を活性化させることはできます。
私がお勧めするプラセンタエキスも細胞を活性化させられる成分の一つです。
「でも、コラーゲンやエラスチンを外から供給できないのなら、プラセンタだって塗っても意味がないじゃないの」と思われる方も当然いらっしゃるでしょう。
現在、化粧品に使われているプラセンタの分子量は五万以下。
ちょうど表皮のすきまから真皮に入るのに大丈夫な大きさです。
角質は本当にただの悪者なの? 先ほど、コラーゲンやエラスチンなどの化粧品成分が肌に浸透しないのは、角質がシャットアウトするせいだというぉ話をしました。
そうすると、「角質さえなければ、化粧品の成分は肌にもっと染み渡るはず」と思って、「角質なんか全部取ってしまえばいいのだ」と考える方もいるかもしれません。
そうでなくても最近、美容の世界では角質は悪者扱いされがちです。
肌のくすみや日焼けによるメラニンの沈着……。
そういったことは、みんな古い角質が原因だといわれています。
角質を拭き取る美容液や汚れと共に落としてしまう洗顔料やパックは、今や大変な流行商品です。
人間の体にはムダな組織などほとんどありません。
角質にも、大変に重要な役割があるのです。
角質は、表皮の一番表面にあたる部分です。
表皮は全部で五つの層に分かれています。
表面に近い方から順に、角質層、透明層、穎粒層、有煉層、基底層です。
この内、透明層は手のひらと足の裏の皮膚だけにあるものなので、特に重要視はしなくていいでしょう。
表皮の一番奥にある基底層は、細胞分裂を繰り返す表皮の源となる細胞の層です。
ここでつくられた細胞は、また新たに生まれてくる細胞に押し上げられる形で、表皮の表面に向かって移動していきます。
その過程で姿を変えていき、最終的に角質の層になるのです。
表皮の最終的な姿が角質です。
角質になる前までの層は、まだ表皮になるための成長過程の段階にあります。
人間の成長にたとえると、基底層の肌が赤ちゃんで、少し成長して小学生くらいになると細胞から雑のような突起物が出てきて有煉層となり、さらに高校生くらいになると細胞のなかにケラトヒアヒン頼粒というものを含む穎粒層になります。
一人前の立派な大人になった姿が角質です。
小学生や高校生が、大人と同じように仕事をできないのと一緒で、本来表皮に課せられた働きができるのは、角質細胞だけなのです。
穎粒層の時、細胞はケラトヒアリン穎粒や層板穎粒をなかに含んでいます。
穎粒層から角質への皮膚の変化は劇的です。
細胞膜に包まれていた頼粒がなかで爆発を起こして破裂したかのように、細胞膜の内側にタンパク質ができます。
それに押し出されるようにして、類粒が外に出るのです。
角化といいます。
今まで、多くの学者が、皮膚が穎粒層から角質に変化する瞬間を捉えて写真にしたい、自分の目で見てみたいと思ってきましたが、誰も成功したことがありません。
そのくらい瞬時に、穎粒層は角質に大きく変化するのです。
ケラトヒアリン穎粒は細胞の外に出されるとだんだん分解されて、ア・1ノ酸などに変化します。
肌のうるおいの元になる天然保湿因子です。
一方、層板穎粒のなかには、水と油が数ミクロンの間隔でサンドイッチ状態になって入っています。
外に出て、水と油が何層にもなってできるラメラシートと呼ばれるものになります。
角質によるバリア機能にあたるものです。
表皮の最も大きな役割は、体の内と外を分けることにあります。
外界の刺激から皮膚を守り、皮膚のなかにある成分が外に流れ出さないように保つ機能は、角質にならないとできないのです。
この角質によるバリア機能を失うと、肌は外界の刺激に耐えられずに、アレルギーやアトピー性皮膚炎になったりします。
角質になるまでの表皮は、バリア機能や保湿機能をつくっている途中段階にあります。
表皮が完全に成長するには、どの層の段階も省くことができません。
基底層でつくられた新しい細胞が表面に押し出されて、角質化するまでに約一四日間かかります。
角質化した表皮が剥がれ落ちるまでに、さらに一四日間。
この二八日間の新陳代謝のサイクルを、「ターンーオーバー」と呼んでいます。
ただし、肌が健康で元気な場合のモデルケースです。
アレルギーなどで湿疹がひどい場合ですと、一四日間ももたずに、角質はどんどん剥がれていってしまいます。
そうすると、まだ新しい角質ができていないので、穎粒層や有煉層、基底層段階の表皮がいちばん上に押し出されることになります。
まだバリア機能が備わっていない層ですが、いちばん上に押し出された以上、角質と同じ役割を果たさなくてはいけません。
小学生や高校生が急に大人になれといわれて、大人と同じ仕事をするのと一緒です。
当然、低いバリア機能しか保てません。
バリア機能が低いと、表皮は剥がれやすくなります。
肌はどんどん弱くなり、刺激を受けやすい状態になります。
この悪循環に一度はまってしまうと、肌の機能は低下する一方です。
アトピー性皮膚炎の症状がこのパターンに当てはまります。
ここまでの話を読んで、人為的に角質を剥がすことが、肌にどんな悪影響を及ぼすか分かってもらえたでしょうか。
確かに古い角質を取ると、新しい層が出てきて、肌は1瞬蘇ったかのように感じます。
まだ育っていない未成熟な皮膚かもしれないのです。
どんどん肌を「掘っていく」のような行為をしていると、些細な刺激にも耐えられない、トラブルだらけの肌になって、健康な状態に戻すのが難しくなっていきます。
最近は女性誌などでも、「角質を剥がした後の皮膚は刺激に弱いから、クリームで保湿して肌を守りましょう」というような記事がようやく書かれるようになりましたが、乳液やクリームにできるのは、皮膚の表面に膜をつくって被うことだけなので、歯車が狂ったターンーオーバー・サイクルの根本的な解決にはなりません。
今、盛んに美容整形などの分野で、表皮を化学物質で剥ぎ取るピーリングを「若返りの魔法」であるかのごとく宣伝していますが、私はとんでもない話だと思っています。
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